19人が本棚に入れています
本棚に追加
2-3
光を撒いて家に帰ってきた頃には、すでに日が沈みかけていた。最後の足掻きとばかりに鮮やかな夕日のオレンジが薄暗い部屋の床だけを明るく照らしている。電気をつけるとそれは打ち消され、乳白色の光が部屋の中を満たした。
狭い玄関で靴を脱いで、先に部屋に上がる。荷解きを始めようとすると、遅れて上がってきた兄貴に「俺一人で大丈夫だから、翔は着替えてきな」と言われ、やんわりと買い物袋を奪い取られた。
それもそうかと言われたとおりに襖を開けて、隣の部屋へ行く。すると、出かける時は三つ並んでいた布団が二つになっていた。一番右にあった美紀姉の布団は、部屋の隅にきちんと折り畳んで置いてある。
最初のコメントを投稿しよう!