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「美紀姉の布団、干したの?」
制服から部屋着に着替えながら何気なく訊いてみる。
「ああ、うん、今日天気良かったから」
言葉の合間に、ぱたんぱたんと冷蔵庫を開け閉めする音が聞こえた。
「翔の布団も干したよ」
試しに自分の布団を踏んでみると、確かに朝と比べて、ふかふか具合が良くなっている気がした。次に兄貴の布団の隅を軽く踏んでみる。パスンと気のない音を立てたそれは、薄べったい感触がした。自分のは干してないのな。その言葉は、音にはならずにため息になって吐き出される。
兄貴にはそういうきらいがあるのだ。自分のことは二の次で、俺たちのことを優先する。大切にしようとしてくれるのはありがたいが、自分の方が脆いのだから少しは省みてほしい。これを本当に口にしたのなら、困ってしまうだろうから言わないけれど。
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