独 り 恋

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「こんばんは」 翌日、鈴さんが来てくれた。 「ごめんね、いきなり連絡して  卒業名簿で知りたい人がいて」 「父上の会社の採用で誰か  気になる人でもいたの?」 姉は鈴さんには適当な理由を 言ったらしい。 「経済学部とおっしゃってたんで  経済学部のマキちゃんも連れて  お邪魔しました」 「ごめんなさいね、お手を  煩わせてしまいますわ」 母に促されソファに座った鈴さん達は 「エエと・・・お訊ねの方はどなたで」 名簿を開けた。 「浅井裕俊くんと言うのだけど」 「え!?あさい!?」 鈴さんとマキさんが声を揃えた。 「知ってるの?」 姉の問いに 「知ってるも何も、ねえ!」 鈴さんとマキさんは顔を見合わせた。 それから   「別の学部でも先生方の間でも  有名なヤツですから、そうそう、  鈴ちゃんの叔父さんの須和教授、 『この大学の卒業生と公言するのは  まかりならん!』って浅井に  怒鳴ったことあったよね、ハハハ」 マキさんは笑いが堪えきれない感じ。 「なんで怒鳴られたの?」 姉が聞くと 「三人くらいかな?」 「四人だよ!」 笑ったままで鈴さんが 「同じ大学の四人の女子をマタガケした  挙げ句に金まで貢がせて裁判沙汰に  なったんですよ」 どんどん続ける・・・
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