花 泥 棒

恋 々 と

妻は子供や会社の用以外に

外出など滅多にしないから

“　不義　”　などは疑えない。

ただ、結婚前に

好きな男・・・交際相手の

一人や二人いても

可笑しくないほど美しい・・・。

かといって　“　男を知った　”

・・・そんな手馴れもなかった。

だから初めのうちは

（慣れてさえくれば・・・)

気軽に考えていたのだけれど

（僕では嫌なんだ)
（僕でない誰かが・・・)

そんな考えが頭をもたげるように。

その男には

熱帯の樹木のように

上気しながら

身を捩っていたのか・・・、

つまらぬ妄想に苛立つと

出先の女に

荒々しい行為で

不満を吐くようになった数年。