傾  斜

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「住宅会社の名前だけ聞いてたから  少し、調べてみたのだけど  他にも裁判を抱えてる会社  みたいな様子だわ」 優子の言葉は予想のままでも 憂鬱に響いたから、 紅茶を一口飲んで・・・ 天井を見つめると・・・ なんだか目眩がしてきたようで 首を戻したら、溜め息が出た。 「あ~あ、亭主だけでなく  家まで欠陥だらけとは」 事情を知っている優子を前に 自身を笑ってやるしかない、 夫との家庭も “欠陥住宅”。 結婚当初から止まない夫の 女性関係・・・そもそも 結婚前から見え隠れする 女の影を感じながらも 意地を通して入籍まで 漕ぎ着いたような結婚だった。 「あんな男は・・・  ずっと女の切れ目なしに  なってしまうよ」 友人達の見立ては確かで 結婚5年、気の休まる間など まったくなかった・・・。
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