恋 の 轍

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恋 の 轍

「お子さんの撮影?」 「はい。五歳の七五三記念です。  お孫さんですか?」 「ええ、そうなの。  初孫の一歳の誕生日記念」 ショッピングモールにある 写真スタジオで 僕の妻が隣にいた夫婦に 声をかけた。 三十代の何処にでもいる夫婦。 夫の方は子煩悩な笑顔を こちらに向けて会釈した。 彼の妻は、僕の妻と話を したままで、こちらを 向くことはない。 わざとこちらは向かないのだ、 彼女は僕に気付いているはず。 僕達は ”その昔“ ”親しい仲“ であったから。
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