恋 の 轍

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抱いたら・・・ 胸にかかる息が熱くて、 「好き」と動いた唇を 何度も塞いで・・・ 僕は時間を忘れて 彼女を貪った二年ほど。 十五年以上も昔だ・・・。 僕は四十を前にして また恋をしていた、 妻子がいるというのに。 なんの覚悟もない恋だった。 一緒に仕事をしているうちに 共に過ごすことが多い中で なんだか、楽しくて なんだかいつも会いたくて なんの変鉄もない、 恋だった。 ただ、人に知られてはならない 恋だった。 彼女のため? いや、そうじゃない、保身。 そのくせ、一度手にした花の 芳しさを手放すことも出来ず 柔い彼女の肢体に溺れた 僅かな月日が・・・・ 今、妻と談笑する彼女と 僕の秘密。
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