刹那の花

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物事に “起承転結" はつきもの、 昭和二十年が始まると 長い戦争の “転" を 予感させるような 本土への攻撃が激しくなった。 東京、しかも政治の隣で 仕事をしていると (これは間違いなく日本にとって  不利な"転“になる) 確信出来た。そして 「大阪空襲❗」 同僚が深夜に叫びながら 俺の部屋に入ってきた。 「大阪!」 とっさにゆきはなが浮かぶ。 けれども・・・・・ 東京を離れることの不可能な 自分には、無事を祈る以外ない。 (どんなに嫌がっても、身請けして  福島の郷里へゆきはなを連れて  ゆくべきであった) 悔やんでも後の祭り・・・、 そのとき、ゆきはなは 空襲ではない理由で 人生の“転" にあったのだった。    
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