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汽車の中での長い時間、
手紙を読み返して頭の中を整理。
終戦前の空襲では皆、無事。
ところが春先から流行った
癖の悪い風邪が蔓延、
廓の女が一人と直嗣の両親が
深患いで死んだらしい。
感染していたゆきはなも
一進一退であったのが
9月くらいから急変、床についた。
俺に知らせなかったのは
ゆきはなが止めていたから、
『これ以上の迷惑は心苦しい』と。
夏前に廓は廃業して
持ち物の長屋へ移動、
一軒を飯屋にして
女達は生計を立て
ゆきはなの面倒も
皆が看てくれていると。
それだけは安心出来たが、
『恐らく冬までもちません』
手紙の一行が刺さった。
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