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「ここへ越してきて
互いの本名を呼ぶようになり
愉しそうに働いていたのは
しばらくで・・・・
響子さんはすぐに寝ついて
しまって・・・・・」
直嗣は俺に連絡をしようと
したようだが
「きっと及川さんのことだから
無理して病院を探して・・・
そんな迷惑はかけられません」
そう言った響子は
長屋の片隅で一人で
寝ていたそうだが
みるみるうちに病状は悪化。
「痛み止めにはこれしか」
医者の処方する、所謂
麻薬のようなもので
胸苦しい痛みは消えたが
それと同時に、パラパラと
記憶や感情も消え始めたらしい。
「もう・・・アカンのなら
それもエエかも・・・
廓におったことなんか忘れて
静かに死んだほうが・・・・」
ゆきはなの中から
俺は消えていた・・・。
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