刹那の花

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翌日、 「東京へ戻ってこないから  こちらがやって来たよ」 同僚が現れた。 「資料作成の英訳はお前でなきゃ  と、大臣が譲らない。アメリカ  さんと渡り合えるだけの  語彙力は右に出る者なしの  及川なんだからね、ハハハ  巧く掛け合って大阪から  動かずに済むようにしておいた」 「恩にきる」 「ナンの用事でここにいるのか  野暮は聞かないさ。それに  俺も京都の実家に顔を出せる」 「そりゃなに・・・」 “何より“と言いかけて 「確か・・・お前の家は  京都で呉服屋をして、」 「ああ、そうだよ」 「今すぐ帰って、白無垢を  都合してくれないか?!」 「はあ?白無垢?なんだって」 「とにかく欲しいんだ!  今すぐ!一秒でも早く!」    
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