ひとりぼっち

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そのうちに高校生の娘が 「たー君とハンバーガー屋で  テスト勉強していたら  遅くなっちゃった」 快活そうな笑顔で帰宅。 「こんにちは」 気持ちよく挨拶をしてくれた。 娘の笑顔は、高校時代の 彼女、そのもの・・・。 娘が二階へ上がると 「同級生と交際中、真面目な  雰囲気の子なんだけど  気が気じゃないわ、ふふ」 彼女は笑った。 何も案ずるようなことは ないだろう・・・彼女もそうだった。 当時彼女が付き合っていたのは 同級生、成績優秀な二人だった。 今の御主人とは大学を出てすぐ 職場で知り合い、三年で結婚、 今の生活に至る。 この明るいリビングは 彼女の人生、そのもの。 女の人生は二十歳前の恋で 後を占えるのかも知れない。 彼女同様、今年で四十三歳に なってしまう私は、独り者。 二十歳前の初めての恋は 今を預言したような すでに“家庭のある人“だった。  
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