罪 と 罰

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彼女・松永美春が  『 殺人・死体損壊 』 の被疑者として、 検察へ送られてきたのは数日前。 警察聴取を元に 一から事情を聴いていく。  「年齢35才、専業主婦」 一目でそれが解る 手荒れなどない綺麗な手が 小刻みに震えていた。 「また一から聴いてゆくのですが  慌てずに記憶を手繰りながら  お話して下さい」 私が美春に微笑むと 側で記録を執っていた事務官は 怪訝な顔をした。 検察内では"氷の女王"などと 陰口を叩かれていることくらい、 とうに知っている。 自分でも、被疑者に笑みなど 初めてだと、思う・・・。 ただ、今回の事件、 "夫の愛人を刺殺し、死体を壊した“ 美春の事件には やや、私情挟むところがあった。
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