花 泥 棒

南天映燭(なんてんあかりにはえる）

　「庭のある家が欲しいなあ」

貴方の口癖。

花好きな両親が遺した庭を

貴方の好きなようにしてもらった。

貴方が庭に立つ姿を

眺めながら紅茶を淹れるのが

とても好きなひととき・・・、

ここに貴方も棲んでると

錯覚していたかったから。

　「いつ見ても立派な南天だね」
　「祖父が植えたの、
　　父の生まれた日に。
　　男子の出世祈願に
　　そうする家があるらしいわ」
　「そうなんだ・・・」

感心していた貴方が

このニュータウンに

家を建てたのは二年前、

それから・・・

男の子が生まれたと・・・・

人伝に聞いた・・・。