南天映燭(なんてんあかりにはえる)

7/8
前へ
/485ページ
次へ
陽が落ちるのを 楽しみながら・・・ 一足一足、貴方の家へと向かう。 心配しなくても、今夜、 ここに貴方は帰らない。 焦ることなく 貴方の家を探して歩く。 番地通りに歩いて行けば 似たような形の家に 似たような車が停まってる。 鉢に寄せ植えた花もみな同じ。 表札を一つ一つ見流していく・・・。 角を曲がってすぐに気づいた、 庭の灯りのそばに南天、 若い南天が揺れている。  「前が公園だから   庭の陽当たりがいいんだ」 社員食堂で話していた貴方、 私が後ろにいるとも知らないで。 いいえ・・・知っていたのかも・・・、 月日とともに、どんどん どんどん無神経になる貴方だもの。
/485ページ

最初のコメントを投稿しよう!

327人が本棚に入れています
本棚に追加