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「五時には会社へ戻らなきゃ」
美紗は着替えする手を早めた。
(“あのひと”・・・
『まだまだ』って
身体を離さないんだもの)
さっきまでの男の重みが甦る。
“あのひと”は妹の夫で一哉の父親。
経産省勤めのこの男は
会社のために、一哉のために
それから今後の美紗のためには
最重要な存在。
(妹は愚か者だから、一哉が跡を継ぐと
何も考えずに会社を“私物”に
して、経営にも口を挟むはず)
それを阻止するには
その夫を手中にしておく必要が
美紗にはあった。
もっとも・・・
妹の大切な男が二人して
“私物”であることも
美紗には大切な優越感で
あるのだけれど・・・。
ー 了 ー
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