硝子の部屋

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「あ、あのこれ、このカード、  困ります。お返ししないと」 急いで鞄からカードを入れた 封筒を差し出すと 「真面目なんだなあ」 佐久間はクスクスと笑って 「第1駐車場の一番奥の“・・・5“  No.の白の車の前で、四時に  待っててくれるかい?」 封筒を受け取ってくれずに また、ホテルへ戻った。 (どうしよう・・・) 躊躇いと行き場ないカード。 (仕方ない) の気持ちで四時に駐車場へ。 白い左ハンドルの車は ピカピカに磨かれていて 自分の家の・・・薄汚れた 十年オチのファミリーカーが ちらりと浮かんだところへ 佐久間がやって来て 「家の近くまで送るよ」 「あ、あの」 無理やりでもない・・・ (こういうのを“エスコート”って  言うんだ・・・) 助手席のドアを開けられて ストンとシートに落ちた・・・。
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