硝子の部屋

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大学の頃から 佐久間のお陰で フラワーアレンジの 勉強は続けていた。 大学を出てからも 佐久間のホテルやその他 佐久間の所有する場所での 仕事ばかり。それ以外は マンションで過ごす・・・。 たまに二人で旅行にも行ったけど 佐久間は自分の目の届く範囲に 常に私をおいていた。 窮屈を感じるようになったのは 私のアレンジを見た人が 私に依頼してくれた仕事を 佐久間が渋ったときからだった。 「世間は君が思うほど  善い人間ばかりではないよ。  ここだけで、僕のそばだけで  君は生きていればいい」 佐久間の言葉に さらに戸惑いが膨らんだのは 颯介と出逢ってしまったから。 颯介は、房総の花農家の息子で “そうすけ・颯介”、 その名のままに、爽やかな 野辺に真っ直ぐに立つような彼。
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