硝子の部屋

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海外出張から戻って  「仕事など、もうする必要はない」 佐久間が言った一言と アルコールで執拗に 私の身体を拭った佐久間の行為に、 颯介との“終わり”を 知らぬ間に、佐久間に つけられたことに気づいた。 おそらく佐久間は 私が“愛人”で暮らしてきたことを 颯介に告げたに違いない。  「お土産だよ」 ダイヤのネックレスを 裸の私に付けて 佐久間は満足げに笑った。 その笑顔に・・・ 恋した佐久間の面影は 一つも残っていなかった。 老い始めた佐久間の嫉妬に 自分の裏切りを棚に上げて 憎悪と恐怖を感じた瞬間だった。   
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