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どんなに隠そうとしても
どんなに他人を装おっても
恋という色は
体臭からでも
互いの糸を絡めるように
周囲に伝わるものらしい。
あっという間に
部内では知らぬ者はない
関係になってしまっていた。
その1年の間に
真緒子は実家を出て
独り暮らしを始めて
いつでも、珈琲一杯の間でも
良久の都合次第で
立ち寄れるようにと
自分の生活を恋のためだけに。
それは男にとって好都合以外ない。
小学生の子供二人に住宅ローン。
褪せていた毎日には
欠かせない栄養剤のように
愛技を覚える真緒子を貪った。
(いずれ真緒子はまた
若い男でも好きになれば
関係もお仕舞い)
そんな言い訳を呪文にして。
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