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真緒子には
何も見えてはいなかった、
良久以外は・・・。
部署を人事へ移動になって
より定時に帰宅出来るから
早目にマンションへ戻って
良久の現れるのを待つ。
そこまでされると
やや腰が退けそうなものだが、
自宅にはない空間に
良久は居心地をよくしていた。
ここには
口うるさい妻がいるわけでない、
金の要求もせずに
どんな痴態も、真緒子は
良久の望む通り・・・。
四年も経つと
(バレなきゃいいんだ、
家庭さえ壊さなければ)
良久の呪文は変わる・・・。
けれども、魔法などは
どこにも、いつまでも
存在するわけなどないのだ。
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