365分の20

9/9
前へ
/485ページ
次へ
以前ほどの口数も 優しさもない良久と ただ、時間をやり過ごす、 それだけの結婚生活。 自分達の子供を作ろうにも 養育費という負担、それから 良久の“子供はもう要らない” といった様子が、真緒子を 何よりも寂しくさせた。 そのくせ、月に一、二度の 子供との面会日になると 嬉し気に出掛ける良久。 (あのひと・・・このまま  帰ってこないんじゃ・・・) 夜にはそんな不安も つきまとう面会日・・・。 かつて、一年のうちの二十日 ほどしかゆっくり会えぬ寂しさに 苦しめられた真緒子。 あれほど望んだ良久との 三百六十五日であるにもかかわらず そのうちの二十日ほどの この良久の外出は、 以前以上の悲愴を 真緒子の胸に描いていた。             ー 了 ー
/485ページ

最初のコメントを投稿しよう!

327人が本棚に入れています
本棚に追加