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以前ほどの口数も
優しさもない良久と
ただ、時間をやり過ごす、
それだけの結婚生活。
自分達の子供を作ろうにも
養育費という負担、それから
良久の“子供はもう要らない”
といった様子が、真緒子を
何よりも寂しくさせた。
そのくせ、月に一、二度の
子供との面会日になると
嬉し気に出掛ける良久。
(あのひと・・・このまま
帰ってこないんじゃ・・・)
夜にはそんな不安も
つきまとう面会日・・・。
かつて、一年のうちの二十日
ほどしかゆっくり会えぬ寂しさに
苦しめられた真緒子。
あれほど望んだ良久との
三百六十五日であるにもかかわらず
そのうちの二十日ほどの
この良久の外出は、
以前以上の悲愴を
真緒子の胸に描いていた。
ー 了 ー
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