影 法 師

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影 法 師

志織(しおり)は何も知らない娘だった。 女子大を出て銀行勤め、 仕事も、他人との付き合いも もちろん、男性との付き合いも、 知らぬことだらけで・・・。 おどおどしていた新人の志織に、 優しくしてくれた先輩が 憲武(のりたけ)恵倫子(えりこ)。 五つ歳上の二人は同期で 仕事も出来たし、人当たりもよく 行内の人気者だった。 他の人を交えても 食事や飲み会に参加したけれど  「志織ちゃんといると   気持ちが安らぐ」 そう言って二人は 志織だけでも、 仕事帰りの食事にでも よく誘ってくれたから 志織も心を許して 過ごすようになり、 なんだか“三人”でいることが 半年もすれば当たり前に なっていた。
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