影 法 師

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一年後、志織と憲武は結婚。 同時に転勤で大阪へ。 志織はホッとしていた、 恵倫子がいないから。 二人が付き合っていた噂はない。 志織も憲武を信じていたけれど 何故か“釈然”としない感じが あったから、大阪での生活は 嬉しかった。 でも・・・・・  「明日から東京本行へ出張」 二、三ヶ月に一度の割合で 出掛ける憲武に不安はあった。 何故ならば、本行には恵倫子が。 恵倫子は本行の為替部署にいた。  「全く男以上に仕事が出来るし   人望もあるんだから敵わない。   相変わらずよく飲むし、   よく食べるし、喋る、ハハハ」 帰宅すると必ずしばらく続く 恵倫子の話・・・。 志織がつい不機嫌になると  「やっぱり仕事辞めて寂しい?」 ・・・方向が違う憲武。  (こういう人だから) そう思うと幾分気持ちも 楽になって、月日は流れた。 そして十二年・・・・・・。
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