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母親がトボけた理由を、
中学生になった頃、
千帆は友達に聞いた。
「“パトロン“って知ってる?」
「“パトロン”?」
「『身体を代償にして女性に
援助をするひと』だって。
雅子先生が音大を出て
留学出来たのも、大きな教室を
持てるのも、その人のオカゲ
なんだって、ママが言ってた」
中学生ともなれば
“男女の関係”や
“自分達が存在する原因”だとか
正しいような、間違ったような
薄っぺらな知識で知るようになる。
“身体を代償”の意を
千帆は直ぐ様理解し、
あのときの、自分の母親のように
頬は赤くなってしまった。
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