メロン

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「あ、あのあのあの」 頭が真っ白になった千帆に 追い討ちをかけて 「千帆ちゃんじゃないの?  どうしたの?こんな所で」 雅子がリビングへ。 そこへ天の救いか、野良猫が 庭の、三人の中央を横切った。 「猫を、猫を追いかけて」 「ふふ、赤ちゃんねぇ、いつまでも」 雅子が優しく笑うと 「メロン、まだ残ってるだろ?  福岡土産の菓子も。  さあ、あがりなさい」 紳士は無作法な千帆を 部屋へと招いてくれた。 「お紅茶にしましょうか?」 「ミルクティーがいいだろ?」 「そうね、子供に茶葉は  渋すぎるもの」 「僕が作ってあげよう」 「この人ね、長くロンドンに  いたから、煮出しのミルクティー、  とても上手なのよ」 恐縮しながら千帆は (普通・・・普通に、うちの  パパやママと同じ感じ) 拍子抜けがした・・・。 二人に漂う空気は どこにでもある家庭だったから。    
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