メロン

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数年ぶりに来た雅子の家は それなりに年期を帯びていたが 向こうに美しい庭が見えた。 「千帆ちゃん、久しぶりよね?  この家に来るのは?」 奥村に尋ねられて 「そうですね・・・いつも  お手伝いを頼まれるのは  外の用が多かったから」 そう答えると 「あのね、雅子先生・・・・  御結婚されたのよ」 「 ! 」 「結婚というより“入籍”が  正解かしら・・・。ずいぶん  ずいぶん長い“仲”だから」 “紳士”の顔が浮かんだ。 「世間じゃ・・・まるで“妾”の  ように、先生のことを仰ってたけど  金銭関係ではないのよ」 ああと、それこそ千帆は 合点がいった。
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