プレゼント

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女は“この手の恋”には 馴れていた。 別に馴れたくてなったわけでない。 奇妙なことに、好きになるのは 妻帯者ばかり。  「落ち着いて素敵な男性に   パートナーがいないわけ   ないじゃないの」 何度となく友人から 釘を刺されても、 今度こそはと思っても 親しくなった頃に 男達は言う、  「結婚してる」 と。 今度の男もそうだった。  (だったら“お金の関係”で   割り切ってやっていく) そんなつもりで 男の手土産の花瓶を受け取った。 「紫陽花、花屋で綺麗だったから  買ったばかりなのよ、これに  生け代えるわね」 花の香りの漂う中で 女は男に抱かれた。 出来るだけ感じないように、 出来るだけ熱くならないように、 女は自分を制御しようとするけれど 男は残忍に女を攻略していく、 男にとってこれは ゲームなのだから。   
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