夕暮れにて

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それから三ヶ月・・・ 夕焼けの公園。 孫娘を乗せたベビーカーを 夫と二人、押しながら、 犬連れの近所の人と挨拶。 「よかったわね、お嬢さん、  近くに越してらして」 「子供の世話を押し付けられましたわ」 三ヶ月の間に、 娘夫婦は近くの建て売り住宅を購入、  「二人でデートのときには   結愛をお願いします」 敦也は敦也なりの誠意を示し、 晴香はそれに応えることで “今回”は眼を瞑ったようだ。 この先も、何も起こらぬことを願うだけ。 夫は、あの日から女と会ってる 様子はない。 孫娘を抱いてあやしている風は もう初老と言って過言ではない。 そうなのだ、私達は人生の夕暮れ。 日没後も夫とやっていくのだろう、 僅かな(しこ)りを抱いたまま・・・。              ー 了 ー
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