327人が本棚に入れています
本棚に追加
「厄介な依頼者…というより
相手方なんだが」
「“奥様”のほうですか?」
「ああ、離婚に応じてくれる
気配は微塵もない」
「別居から十年…ですよね?」
「ああ、依頼者が“別宅”へ
移ってから一度も帰宅は
ないんだけれど、ガンとして
離婚には応じてもらえない」
十年の記録に目を通す…
財産の一切合財を
条件にしているようだ。
「愛人を作って家を出たわけだから
正妻的には意地もあろうが…
なんというか、取り乱すでもなく
サラっと『離婚しません』、だけ」
「そりゃ手強いですね」
「申し訳ないが、女は女同士、
一度君が行ってもらえないか?」
という経緯で
上司から託された(押し付け)
案件の正妻宅の屋敷内へ
車で踏み入れて・・・・
・・・・森のような庭に
なんと見事な設計の蜘蛛の巣。
![385eacbc-94f0-4e00-b431-515b27f74300](https://img.estar.jp/public/user_upload/385eacbc-94f0-4e00-b431-515b27f74300.jpg?width=800&format=jpg)
最初のコメントを投稿しよう!