魔女の館

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「普通の夫婦だよ。  適齢期あたりで恋愛結婚。  同じ高校だったかな?  親同士も知り合いで。   子供は二人だ。娘と息子は  ん?どこだったかな?  留学してると聞いてるけど」 「不動産やら…なかなかの資産ですね」 「あの屋敷も資産も  出て行った男のものだ。  奥さん自身も資産家の娘だから  金に執着してるわけではない」 と、すると御主人に執着… 何処にでもいる五十男だけど。 「傍目には順風な夫婦だと  思ってたんだけどなあ。  ただ・・・」 「ただ?」 「あの奥さんの“計画的生活”は  息苦しいんじゃないかと  俺達の間では噂してた。  ほら、あるだろ?女性には  幾つまでに子供を持って  子供は有名小学校へやるとか  夢、というか計画」 「どうでしょう…」 結婚もしていない自分には 想像つかない話だと 思うところで あの蜘蛛の巣。 綿密に織られた美しい糸が 頭を霞めて 少し背筋がゾクリ・・・。   
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