魔女の館

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「焼饅頭、いかがですか?」 「群馬名物の?」 「僕は群大に通ってるんで  ここに帰るときには  必ず買ってくるんです」   ブランコを押していた青年が答えた。 「長男です。あと一人は…」 家の中から“愛人”さんと 笑いながら寄ってきた娘は… “正妻”と瓜二つ。 「長女です。普段は東京の大学に  在席なので、八王子に住んでます。  それからあっちが次男で、  そこのソファで寝ているのが三男」 ブランコの少年と幼稚園児らしき 子供を“依頼者”は指した。 お茶の仕度が粗方済んで 「じゃあ、私は夕飯の用意を  買いに行ってまいります」 心得たように“愛人”と 「“かずさん”私も行くわ」 娘は“愛人”と仲良く出掛けた。 「奇妙なことになって  しまっているでしょ?」 自嘲の笑みの依頼者。  
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