ティールームにて ③

9/10
前へ
/485ページ
次へ
「仕事、頑張ってるのね。  栃木のアンテナショップに  お店のお酒が並んでいて…  つい…買っちゃったわ…。  あなたの努力の結晶だもの」 あんな別れ方をしたのに こんなことを言ってしまう妻…。 いや…皮肉ではないだろう…。 僕の仕事への献身は 嘘ではなかった…だから 自分を殺して、あんな田舎で 頑張ろうとして…疲れたんだ… 「今、君…」 “まだ独りなの?なら…!” と、言いかけたとき、 「小林さん!5時の打ち合わせ、  3階会議室に変更だって」 背後からの声に 妻は振り返り 「了解!すぐにオフィスへ戻るわ」 返事をした。 “小林さん”…僕の苗字でも 妻の苗字でもない、知らない苗字。
/485ページ

最初のコメントを投稿しよう!

327人が本棚に入れています
本棚に追加