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子供の習い事の付き添いで
八重花は外出が増えた。
それは真木の外回りの日時と
見事に合致してゆく。
消し忘れの着信者は“M”。
決定打は八重花のうなじに
薄っすら遺っていた“恋の疵”。
淡い紅色が肌に浮いて
『彼が欲しくてたまらなかった』
長谷川にそう語りかけていた。
「今夜、話があるの…」
八重花は長谷川に言った。
夜まで独りで酒を飲みながら
長谷川は思った、
(不義な恋は…
ひとを泣かせた恋は
巡り巡って…
自分を泣かせるものなのだ)
・・・・・・・・と。
ー 了 ー
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