最後の焔《あかり》

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ただ… 暮らしが…家庭生活が… 淡々となってしまった。 勿論娘達は、可愛いのだから 週末には家族で買い物、外食、 それはそれなりに…。 けれども……“夫との事”は なるべく避けて…避けて… 避けきれぬときには 目を閉じて… 門倉の長い指を思い返した。 あれから通勤電車では 必ず絡まる十の指…。 指の間の薄い皮膚を 思わせぶりに嫐る門倉… 揺れに任せて身を寄せる車内。
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