深 海 魚

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九月のある日だった。 予測より早い台風の上陸で 電車が停まった夕刻。 研究室で実験データを 処理していたのは 自分一人だと、気づいたが、 「おそらく夜半には  電車は復旧するよ。  とりあえずはお茶を  いれてくれないか?」 そう教授に言われて しばし留まることにした。 教授は十五年上で 経済学では名の知れた人物、 テレビにもよく出ていた。 尊敬もしていたし、 優しい人柄にひかれてもいた。 だから……
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