秘密の花

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彼も曜子と似た感じで… 両親が両手(もろて)あげて 歓待した嫁だから、 (女とはケリをつけるべきか) と、思案しながらも 女と会えば絡まる繰り返しで二年。 しかも曜子とは不仲… というわけでもない。 日曜には外出したり 互いの実家で食事したり。 家庭的で料理も上手く、 部屋はいつも綺麗で  「やはり奥さんがいると   違うものね」 丁寧にプレスされたシャツを 愛人に感心されてしまう 暮らしに (そういえば…  曜子との夜も…  楽しくないわけでもない) 安住し始めている彼。 (駅前のケーキ屋…まだ  開いてるよなあ…  シュークリームを  買って帰るか…  曜子の好物だし) 殊勝なことを… シュークリームに似た 二つの塊を揉みしだきながら      考えているのだけれど。      
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