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この桜並木に
初めて連れてきてくれたのは
本日の新郎だった。
私達は同期入社で
仕事も仕事帰りも一緒が多く
夕食を共にすることも多かった。
私は彼が好きだった・・・。
数年前の夜、ここで二人でみた夜桜。
花灯りのたもとでの口づけと
互いに濡れ合った一夜は
彼にとっては“酔いの気まぐれ”。
それでも私は彼が好きだった。
身体に刻んだ一夜を頼りに
一縷の望みを抱いていた・・・。
川面に映るのは葉桜と私、
しばらくは立てそうにもない・・・。
ー 了 ー
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