春   怨

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“仲村太一商会” 自分の名を屋号にして貿易商を 営んでいた祖父は ここに十年くらい前まで “にごうさん”いわゆる愛人を 住まわせてた。 関係はずいぶん前に終わっていた らしいけど・・・ 「死ぬまで面倒をみるとは  男としては尊敬やなあ」 彼は感心していたが、 母は、 「売ったほうがよくない?  これから結婚するのに  愛人が使ってた家を新居なんて」 父方の相続なんで何かと文句。 私達は勤め先が徒歩圏内だから 願ってもない住まいと考えていた。
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