懐かしい疵

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懐かしい疵

窓際の彼女・・・ 木曜日の常連、駅前珈琲店2階。 中学生の娘の塾帰りを 私がここで待つようになって 半年は過ぎた。 私が入り口近くの席を 定位置にする前から 窓際席は彼女のモノらしい。 時計が7時に・・・ 彼女の顔が曇る。 大抵7時を過ぎて男が来ないなら この日の約束は・・・ 彼女は淋しい夜になる。 未練が残る視線が駅の方へと。 立ち上がる踏ん切りが 着かない様子の10分過ぎ、 男が階段を上がってきた。 迷子の子供が親を見つけたように 嬉し泣きしそうな彼女の笑顔に 「やはり待ってたのか」 男の苦笑が・・・憎らしい・・・。 いつも通り彼女が立ち上がるのを 男は手で抑えて珈琲を注文。 いつもの二人なら 男は何も注文せず、 彼女は少し頬を赤らめて 男に従い店を出る。
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