気  配

1/2
322人が本棚に入れています
本棚に追加
/485ページ

気  配

「土曜日の夜、食事にでも  出ましょうよ、たまには」 「・・・ん・・・仕事で土曜も  遅くなりそうなんだ・・・」 わざとこちらを見ないまま 夫は身仕度しながら答えた。 返事をしない私に気遣い、 「そうだ、土曜から鎌倉へ帰ってくれば  いいよ。子供達の顔もお義父さん達に  長く見せてないんだし」 「あなたは?どうするの?」 夫の横顔をじっと見る・・・。 「僕は日曜の昼前には迎えに  行けるよ」 夫は良策を得たような微笑み。 そんなにも、ゆっくりと “彼女”との情事を楽しみたいの? かろうじて喉に言葉を押し込めた。
/485ページ

最初のコメントを投稿しよう!