合戦前に思うのは

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「今後のことを考えると、邪魔でしかないですな」 「ああ、そうだ。奴は頭が良すぎた」 「そうですな」 「そして、柔軟性がなかった。非常に惜しい奴よ」 「――左様ですな」  結局、本音は傍に欲しかったのだろうと忠勝は思う。しかし、それを認めてしまうと、徳川の世は永遠に訪れない。  ここまで、織田、豊臣と我慢の時代が続いた。ようやく転がり込んだ千載一遇の機会だ。ここで勝つ以外の選択肢は存在しない。ついに、家康が頂点に立つのだ。 「消し去ってやる。秀吉の亡霊共々な」 「――はい」  認める点があるからこそ、最も嫌う相手。それが石田三成だ。ああ、なんと口惜しく憎々しいことか。  互いに認める天牙ありつつも、それでも嫌いな両者の戦い。1600年。関ヶ原の戦いが始まる、ほんの僅か前の時間の物語――
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