恋と教師と秘密の関係

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(この良い具合に人が来ない空間というのも、ちょっと……) いそいそと、区切られた小さな展示スペースを出ようとした、その時だ。 くっ、と身体に抵抗がかかる。その発生源であろう斜め下に視線を移せば、ことりが俺のジャケットの裾を握りしめていた。 「先生。……あの、」 潤んだように見えるのは、反射する光のせい。 自分を見上げる大きな瞳をそう理由づけてみたものの。 「さっきのお店の時みたいに……して……?」 「っな!?」 とんだ爆弾発言である。 しかも、せっかく人が自重しようと決心したところに、なんて凶器を送りつけて来るんだコイツは……! いつもは絶対口にしないだろう言葉を言って吹っ切れていたのか、ことりの目がいつになく甘ったるい色をしていた。 ……普段甘えることがない、ことりが、だ。 (何のフラグだ……これは) だが、そう考えたのは唇を重ねた後で。 メープルやミルクの甘さはもうそこには存在しなかった。けれども、それ以上の甘ったるさが一秒毎に増していき。 人の気配と声が届かなかったら、ちょっと危険だったと思う。  
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