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「川崎ちゃんって猫みたいだよね」
それは、俺が前に凜香に言ったことだった。
なんで、それをこいつが言うんだろう。
凜香は覚えていない、去年の記憶だ。
その日、凜香は傘をもたずに学校へ来て「大丈夫晴れるって」なんてお気楽なことをいっていた。
そういうときは大体、どしゃ降りになるもんだと凜香を通して俺は悟った。
「秀明~傘いれてよー」
あいつは同じ傘で帰るって言うのがどう言うことなのか知らないようで、俺は「は?なんでお前と相合い傘で帰んなきゃいけねえの?」と、冷たくあしらってしまった。
「べっ別に秀明以外の人の傘で帰りたくないとかそういうことじゃないんだからっ!」
ツンデレか。俺そんなこと考えてねえし。とか思いつつ、俺だけを見てくれてるって言う特別感に酔って、「そーかよ、じゃあ濡れるし入っていけば??」なんて言って一緒に帰った。
「あ、なんか声聞こえない??」
「え?」凜香が指差した方には子猫の入った段ボールがあった。「あー朝見たわその猫。」俺がそう言うと、「…死んじゃうよ…」と、言って子猫の方へ走り出した。
俺はただポカンとすることしかできず、濡れて猫をつれて戻ってきた凜香は、開口一番こう言った。
「かわいいねっ」
そう言って、笑った。
俺は、猫よりも凜香の笑顔を見れたことに、懐かしさにもとれる嬉しさを感じていた。
「凜香と猫って、なんか似てる。」
「は?」
そう言って、少しキレたように凜香が、俺の方を向いた。
「なんか、雰囲気とか、そうやって、照れてるとことかそっくり」
思ったことを
そのまま言った。
そしたら凜香は顔を真っ赤にして
「…ありがとっ!」
俺はその瞬間
「俺だけを見てくれてるって言う特別感」の正体を知った。
そしてそのあと王道に凜香が風邪を引いて、この会話をすっかり忘れたことは言うまでもない。
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