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あの工藤君が、女子に話しかけた。
その噂は瞬く間に広がり、工藤晴真ファンクラブが一日ずっと騒いでいた。
あたしはというと、なにせ河野くん一筋だったので「工藤?誰それ」という反応をしたら、友達の井上颯了が「あんたほんとに彼氏大好きだよね」と言った。
颯了が言うには、川崎さんと話している現場をファンクラブに目撃されてやんややんや。
へえっ。川崎さんもそんな王子様みたいな人に噂されてるなんてすごいじゃん。
まって。これあたしチャンスなんじゃない??なんて考えてしまった。
「まーでも、工藤晴真が女子と絡んだことにより女子からの晴真株は急落。しかし工藤晴真の友人、森望来や山崎など男子からの支持は急上昇。ファンクラブに男子が入ってくる可能性があるね。」
「なんで~?男子嫌でしょ。モテるやつは。」
「だって男からすれば工藤晴真とつるんでさえいれば彼女できるかもしれないんだから。」
あ、そっか。
それで颯了が不機嫌なんだ。
山崎君は、颯了の好きな人で、二人は兄弟みたいに仲が良い。
だけど、田原葵って人と付き合ってるって言う噂があって、正直なところ颯了は失恋したんじゃないかと思ってる。
本人も、薄々気づいてはいるようで、いろいろ大変らしい。
河野くんは、これを聞いてどう思うんだろう。
「どうやったらあたしのことしか考えられなくなるのかな」
気がつけばそんな恐ろしいことを平気で口に出した私がいた。
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