27話 お家騒動編Ⅱ

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27話 お家騒動編Ⅱ

「ロジーク……良く来たな……!アミンがとても心配していたぞ?」 ──俺は書斎へ向かうと実の父親であるカルボンが待ち受けていた。どうやらアミンは俺が来るより前に伝えに来ていたらしい。 「父さん、俺も戦わせてくれ。これは……自分でやらないといけないことだと俺は思う……!」 「アミンの話は本当だったか……!人は変わるものなんだな。まあ……それは許してやらなくもないが、条件がある」 「……条件?」 「そうだ。ロジーク、どうやってここまで来たのか話せ。服が汚れている様子もなければ皺もない……だとしたらあまりにも()()()()……!」 ──服の皺で移動の早さに気がついたのか。なるほど……盲点だったな。 「父さんが“勇者”として扱われていたのは本当のことだよな?それが本当なら神様についてはどこまで知っているんだ?」 「神様……?何を言っているんだロジーク?私は神様に会ったこともなければ当然知らんが……?」 「あっ……!」 ──その場合、父さんは……いや、“勇者”という存在そのものは単純に強いから“勇者”へと仕立て上げられるものなのか。ということは、俺は判断を誤ったことになる。 「何があったのか聞いてもいいよな?」 「……はい。俺は──」 俺は自分自身が転生者ということを踏まえてカルボンが実質的に二人目の父親であることも伝えた。 このことを話すならば、元々俺が知っている父さんではなく、転生した身体の親となるからだ。 「……そのようなことが本当に……!」 「本当だ。だから俺が生まれたとき天才だと思われても仕方がなかったと思う」 「つまりロジークは神に会ったことがあるというのか……!」 「いや、顔までは見えなかった……」 俺は時々神様から声を聞くことがあるが、最近は聞いてはいなかったな……。 そもそも転生するときに顔は見ることすら叶わなかったくらいだ。 「ロジーク……何故それを言わなかった、とは言わないが……今回ばかりは助かった」 「え……?何でだ、父さん?」 ──父さん曰く、ゲゲルを申し込んだ貴族が思いの外手強いらしい。 人形の場所も念入りに隠しているが、あっさりと見つけてしまうのだそうだ。 「父さん……俺も参加させてもらう!……勿論、二日の間で終わらせて見せるから!」 「ふ、二日……!?」 「そうだ!俺はこの二日間でこのゲゲル(ゲーム)を終わらせる!」 「止めても無駄、か……。いいだろう、存分にやってこい!これが()()の人形だ……!」 どうやら、俺の分の人形は既に用意されていたらしい。 ──こうして俺はゲゲルの参加権を手に入れたのだ。 ☆☆☆ まず、やるべきことはやはり“人形の改造”であろう。 ──ゲゲルのルールは主に三つの条件を守っていれば問題ない。 一つは、領民の人数分の人形を用意すること。 二つ目は、申し込んだ相手が決定した場所で行うこと。 三つ目は、人形を全て()()した方が勝利となる。 ──ここに“人形を補強してもよい”または“人形を改造してもよい”といった記述はなかったのである。 相手の貴族──“アラキドン家”というらしいが、そのアラキドン()は知覚魔法に優れた人物がいるようだ。 ──だから破壊不可能なものにしてしまえば良い。これに限ると俺は思ったのだ。
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