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エンジェリック・コミュニケーション
エンジェリック・コミュニケーション
テレビを点けた。
夜7時からのゴールデン・タイム。
旬を迎え、華々しく活躍するタレントたちが画面を賑わせている。
普段テレビは進んで観ないのだが、少し興味が湧いた。
ソファに座り直し、サイドテーブルに最近買って気に入ったジャスミンティーを用意した。
人気急上昇中、巷で話題の占い師を呼んで運勢を占ってもらう企画のようだ。
紹介された若い占い師がスタジオの中央に案内された。
容姿もさる事ながら、その独特のキャラクター性で一躍時の人と相成ったそうだ。
エンジェリック・コミュニケーション、と銘打たれた彼女のスタイルが説明されている。
彼女は人に憑く霊的な存在と会話ができるらしく、悪い霊には留まってもらい、良い霊には離れてもらうようにお願いする事で人の運気を改善できるようだ。
曰く、良い霊と悪い霊は見たまんまの姿をしているそうだ。
純白の衣に身を包み、大きな白鳥の翼を持つ霊と暗く、醜く、人の姿さえ成していない異形の霊。
一年ほど前、霊的な存在が見えるようになった瞬間、己が為すべき事をはっきりと自覚したのだと言う。
実際にタレント相手にその霊との対話を行おうというところで私はテレビを消した。
沸沸と湧き上がってきた怒りはしばらく収まりそうにもない。
折角同じ役目を持つ相手を見つけられたと思ったのに。
最近仕事が多すぎるとは思っていたがそういう事だったのか。
彼女の目は本物だ。それどころか超一流だろう。
VTRを観て確信したが、ここまではっきり視認できる霊能力者も珍しい。
しかし、彼女は一つ、取り返しのつかない過ちを犯している。
異形の存在こそが人を護る天使なのだ。
日夜純白の悪霊を人々から引き剥がし、人知れず地獄へ連れて行かれるのを防いでいるこちらの身にもなってほしい。
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