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5月 8日月曜日 ルビコン川
日向肇
5月連休明けの放課後に開催された総務委員会で選挙管理委員会の立ち上げについて議題が上がった。選管は総務委員会メンバーたる学級委員長が中心で運営して、会計委員会や風紀委員会のメンバーにも手伝ってもらう事になっていた。当然のことながら立候補者ならびに推薦人、選挙運動に協力する者は参加を出来ない。なので学級委員長で会長選への出馬および推薦人として関わる人は決まった時点で速やかに報告、表明する事が求められていた。
全学年の各クラス委員長15人が参集したのを見て取った大村会長が教壇に立つと総務委員会の開催を宣言した。
「これより総務委員会を開催します。……最初の議題は選挙管理委員会の立ち上げについて行いますが、本委員の中で会長選への立候補または推薦人を引き受ける予定の人はいますか?」
隣に座っていた陽子ちゃんがさっと手を挙げた。また先を越された。陽子ちゃんは何であれ負けず嫌いなところがあるのだ。
大村会長は目を少し見開いたようだった。
「三重さん、どうぞ」
陽子ちゃんはさっと立ち上がると立場を表明した。
「2Eの三重です。私は会長立候補者の推薦人となる予定なので参加出来ません」
続いて俺も手を挙げると立ち上がった。
「2Bの日向です。俺も会長立候補者の推薦人をやる予定なので参加出来ません」
大村会長は淡々と俺たち二人への対応を行ってくれた。
「他にいませんか? ……じゃあ三重さんと日向くんは生徒自治会規則に従い選挙管理委員会のメンバーには入らないものとします。立候補や推薦人を引き受けると決めた人はその時点でいいので速やかに報告をお願いします。2人は申し訳ないが廊下でこの議事が終わるまで待機して下さい」
今日の議事はこれしかないはずだけど緊急で他の議題提案する人がいたらまずいので帰る訳にもいかない。陽子ちゃんと俺は廊下に椅子を持って出て待機する事に同意した。
三重陽子
廊下に椅子を置いて二人で並んで座ると肇くんが言った。
「さて、ルビコン川は渡ったな」
私は頷いた上で気になった事を口にした。
「誰が探り入れてくるかな?」
「学校側はあるんじゃないか。あいつや陽子ちゃん、俺の動きは誰も知らないんだから驚きだろうし」
「確かに」
私はスマフォをポケットから取り出すと冬ちゃんにメッセを送った。彼女からもすぐ返事が来た。
陽子:総務委員会で選挙管理委員の辞退をお願いしてきました。肇くんは「ルビコン川を越えたからトコトン行くよ」って言ってるからね。
ミフユ:ありがとう。いろいろ大変になりそうだけどよろしくお願いします。
15分ほどで会議が終わり私達は再び会議室へ呼び戻された。特に追加議題もなくそのまま閉会となった。みんな興味津々でこちらを見ていたけど、流石にこの場で誰を推薦するのかという無粋な質問は出ずに何も聞かれることなくこの日は下校する事が出来た。
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