夢現(ゆめうつつ)の秋の夜

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僕は、実家から届いたカボチャを目の前にして、考え込んでいた。 翔太の家から沢山もらったらしく、大中小と三個もカボチャを送って来たのだ。 その他にも、お米と栗が入っていた。お米はとても助かるから嬉しい。朝はパンだけど、お弁当と晩ご飯には必ずお米を食べる。だから、僕と翔太の二人暮らしだけど、結構早く消費するのだ。このお米と栗で、栗ご飯を作ろうと思う。 ちなみに翔太とは、家が隣同士の同い年で、生まれた時から仲が良い。僕の母さんが家を出て行ってしまった時も、傍にいて支えてくれた。 だけど、高校生の時に色々あって、僕たちは離れてしまった。そのまま七年離れていたけど、今年の夏に再会して、お互いの気持ちを確かめ合い、今は一緒に暮らしている。翔太は僕の大切な恋人だ。 僕が、カボチャを前になんで考え込んでいるかというと、この三個ものカボチャをどう料理するかで悩んでいた。 ーーいつもは煮るだけなんだよね。でも三個もあるし…。 その時、テレビからテーマパークでハロウィン祭りを開催しているという内容のCMが流れた。 ーーハロウィンかぁ…。ハロウィンって何するんだっけ?…あ、そうだっ。せっかくカボチャがあるんだし、ハロウィン定番の顔を作ってみようかな…? 僕はとてもいいことを思いついたと、鼻歌を歌いながら、カボチャをまな板の上に置いた。
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