クジ運

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HRの1時間程前に教室に入る。 中にいるのは生真面目な委員長と、雨で朝練が中止になったであろうクラスメイトが数人。 視線を無視して、窓際の一番後ろの席に座った。 窓を流れる水滴を眺めながら、途中の自販機で買ったココアを飲み干し、再び襲ってきた睡魔に身を委ねた。 ふわふわとした意識の中に、誰かの声が聞こえた。少しうるさい。 「……なぁ」 「……ぉーい」 「す、すみませーん!」 ん? もしかして俺か? 「い、いぬかい? さん? お、起きてー」 いぬかい、犬甘。俺だな。 ぱっと顔を上げる。誰だ? 「ひっ! ……あ、お、おはよう。先生来たよ」 先生。……ああ、もうそんな時間か。少し寝すぎたな。 教卓に目を向けると、面倒臭そうにこっちを見ているホスト。……間違えた。先生がいる。 「ありがとな」 「う、ううん。大丈夫」 俺を起こしたクラスメイトは、隣の空席を開けた向こう側の席に戻って行った。 大方、担任に起こすように命令されたのだろう。 可哀想なほど顔が青かった。 普通の授業の時は起こさないが、HRの時だけは何かしら連絡があるため、寝すぎた時はこうして誰かが起こしに来る。 有難いが、起こしに来るクラスメイトが皆顔を真っ青にしているため、出来るだけ自分で起きるようにしている。 顔を青くされるほどの事をした覚えはないのだが、不良のような見た目と、目つきの悪さが原因なのだろうと思う。 それにしても怯え過ぎだが。
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